2024年度グランプリが決定!決勝プレゼンテーション経て、表彰状を授与
漬物グランプリ2024開催 (主催)全漬連
全日本漬物協同組合連合会(中園雅治会長)が主催する漬物グランプリ2024が去る4月25日から3日日間に渡り、東京ビッグサイトサイトで開催された。今年も第17回ホビークッキングフェア2024内で協賛各社の出展。また全漬連ブースでは、組合会員から各地域のお漬物がバラエティ豊かに取り揃えられ、試食販売が行われ好評を得たようだ。
最終日の27日は、併設ステージで表彰式が催され、法人の部、個人の部、学生の部でそれぞれグランプリが決定し、表彰された。
主な審査の流れは、「個人の部」、「学生の部」共に、3月上旬の書類審査を経て3月下旬の書類・実食審査を通過した優れた作品が27日の決勝プレゼンテーション並びに実食審査。
「法人の部」では1時審査をブロック毎に、2月中旬~下旬に渡り開催。その後3月下旬の2次審査で、書類並びに実食審査を経て、27日の決勝プレゼンテーション並びに実食審査へと進む。尚、「法人の部」では、3日間に渡りホビークッキングフェア内特設会場で、一般来場者の実食審査も行われており、一般来場者の投票結果も審査の評価に加えられている。コロナ禍で取り止めとなっていたことから、一般来場者の実食審査は5年ぶりの実施となる。
業界団体を代表して中園会長が御礼と共に益々の振興を祈念
表彰式では、主催者を代表して全漬連の中園会長が登壇。中園会長は今回の開催について謝意を表し、「今回の漬物グランプリの学生の部では70作品の応募があり、前回の3倍以上の応募ということで、大変驚いております。
近年、若い方が漬物を食べてくれないという傾向の中、食を取り巻く環境が豊かになり、漬物がなくとも不自由ではなくなっており、漬物業界も大変苦慮している。
加えて、漬物は塩度が高いと指摘され、依然としてマイナスイメージとの印象が強いようです。業界におきましては、この50年に渡り、各企業が様々な改良や製造面での工夫を重ね、低塩化に取り組んできました。また、漬物には塩分排出を促すカリウムを含有しており、是非とも日本人にとってなくてはならない漬物をご愛顧いただきたいと存じます。
それから、出品作品がSDGsなどそれぞれのテーマで取り組まれており、これからも広く漬物の良さを周知していただきたい。何より、ご参加の皆様にはこれからも漬物と関わっていただきたいと思います。ご来場の皆様には最後場で楽しんでほしいと思います」と挨拶した。
大臣官房 新事業・食品産業部 食品製造課の二井敬司氏が農水省を代表して祝辞 各賞の受賞者に敬意表す
また来賓として挨拶に立った農林水産省 大臣官房 新事業・食品産業部 食品製造課の二井敬司氏は、「本日の開催を大変喜ばしく思っております。
全国各地から多くの出品されており、学生の部では前年から応募も相当増えており、若い人たちにも定着しているのだと実感している次第です。これもひとえに、漬物業界の皆様のご尽力の賜物と存じます。改めて、敬意を表したいと存じます。
さて、和食が昨年12月で世界無形文化遺産の登録より10年の節目を迎えており、和食には欠かすことのできないのが漬物であります。是非、本日ご参加の皆様には、引き続き和食と漬物結びつきを深めていただきたいと存じます。
また各賞を受賞された皆様には、敬意を表しますと共にこの度の栄えある受賞をお慶び申し上げます」と祝辞を述べた。
宮尾教授が総評SDGsなど明確なテーマと優れた作品を高く評価
表彰を終え、総評を述べた宮尾教授は、「全体を通して、中でも学生の部の多くでSDGsをテーマにしたものや地元野菜や水産物を活用したもの、また食べ方の工夫などを取り組まれた素材を活かした作品が出品されていました。
更に見た目の美しさと共に美味しいものばかりで、中には珍しい食文化として継承してきたものを絶やさないよう、継承を目指していって欲しいと思います。
それから学生の部では高校生から大学生までと幅広く応募が増えておりますが、中学生からの出品にも期待しております。若い層が漬物を食べなくなっているとの指摘もあるのですが、本日の出品を見ましても若い人たちが漬物を作っていることを心強く思っております。
一般の部では、漬物の悪いイメージを払拭しようという試みの方もおられました。実際の統計データからは、塩分はほぼ調味料から摂取されており、一方で漬物からの塩分摂取は4%程度です。昨今、各企業が減塩に取り組まれており、企業努力に努められている。固定観念化しており、是非とも先入観を取り除いて欲しいと考えております。
また、漬物にはカリウムの含有量も高く、カリウムが塩分排出を促しますので、やはりバランスが大事なのだと思います。
昨年から、農水省では漬物で野菜を食べよう!というキャンペーンを展開されております。漬物はおよそ重量が半分になっていますので、野菜摂取には非常に効率が良いですから、大いに漬物から野菜を摂取していただきたいと思います。
本日は、どうもありがとう御座いました」と述べた。
▽主な審査員 宮尾茂雄教授(審査委員長/東京家政大学大学院客員教授) 桶矢茂守氏((有)セレンディブ) 原田ひ香氏(小説家) 松岡寛樹氏(高崎健康大学教授) 武藤麻美子氏(日本食糧新聞社新製品事業部 月刊食品新製品トレンド 編集長) 堺谷徹宏氏(グルマン・ゴーズ・トゥ・トウキョウ(株)代表取締役)
〈グランプリ受賞作品特徴〉
▽法人の部
・グランプリ みずの実っこ(本漬部門)/㈱雄勝野きむらや(東北)
希少な山里の珍味として知られる、秋田県産のみず(ウワバミソウ)を漬物に仕上げている。シャキシャキと粘りのある独特の風味が楽しめる。春のみだけに採れる山菜のため、年間を通して食べられるようにと、漬物に仕立てた。高齢化等から収穫量も減少傾向から、お漬物として継承されることが望まれる。
▽個人の部
・グランプリ 湘南大根の鵠沼魚醤漬け/渡辺恭利さん(神奈川県)
3つの「愛」をテーマに、掲げ開発されている作品。
農家からは残さずに食べて欲しいという思いを込めて考案。美味しく楽しく食べて欲しいと試行錯誤。生の部分、干した皮の部分の3種類の食感を活かしており、食卓への愛を込めた。
また、調味料にはイワシの魚醤を使用し、程よい旨みとコク、磯の香りで地域愛を込めている。
▽学生の部
・グランプリ シャキシャキ荏胡麻キムチ漬/松下朋生さん(立命館大学)
立命館大学産業社会学部の中西ゼミで活動。京都府南丹市清町で野菜の生産、その野菜をもとに商店街で漬物を販売。このグランプリをきっかけに漬物づくりに取り組んだ。ここでは、高齢化に伴い、耕作放棄地が増えていることから、その畑を使って荏胡麻油を生産。荏胡麻農家の皆さんとの交流から、荏胡麻は実のみが使用され、荏胡麻の葉は捨てられている事を知り、未使用の葉を原料に漬物づくりに取り組んだ。荏胡麻の葉は韓国料理でも食され、高い抗酸化作用を持つベータカロテンとビタミンCが豊富で、健康にも良いという。原材料には、長芋、胡瓜、豆もやしが加えられ、シャキシャキした食感が楽しめる。調味料にはマヨネーズも使用しており、食べやすいキムチに仕上げている。
〈漬物グランプリ2024結果〉
▽法人の部
・グランプリ みずの実っこ(本漬部門)/㈱雄勝野きむらや(東北)
・準グランプリ 国産しょうがフレーク(本漬部門)/遠藤食品㈱(関東)
準グランプリ ねぎ塩だれきゃべつ漬(浅漬・キムチ部門)/東海漬物㈱(中部)
・地域特産品特別賞 広島菜ごはん あなご(本漬部門)/㈱山豊(関西)
・一般審査員特別賞 みずなす漬 レモン(浅漬・キムチ部門)/堺共同漬物㈱(関西)
▽個人の部
・グランプリ 湘南大根の鵠沼魚醤漬け/渡辺恭利さん(神奈川県)
・準グランプリ きんかん爽やか漬け/甲斐千津さん(佐賀県)
・審査委員特別賞 桜香るさくら漬け/片山智子さん(香川県)
▽学生の部
・グランプリ シャキシャキ荏胡麻キムチ漬/松下朋生さん(立命館大学)
・準グランプリ 更別村原産金時豆酢を使った白菜とスモモの甘酢漬け/山本智寛
さん(北海道更別農業高等学校)
・審査委員特別賞 廃棄物を救う!信州蕎麦ぬか漬け/藤澤愛梛佳さん(長野県南安曇農業高校)
〈開催概要〉
▽名 称 漬物グランプリ2024(第17回ホビークッキングフェア2024内)
▽会 期 令和6年4月25日~4月27日(午前10時~午後5時)
▽内 容 日本各地の特色ある漬物レシピを個人及び法人から募集し、優れた作品を表彰する。
▽主 催 全日本漬物協同組合連合会
▽後 援 農林水産省
▽特別協力 日本食糧新聞社
全国から漬物を取り揃え、試食販売 多くの来場者が行列、3日間に渡り賑わう
協賛各社も自慢の逸品で積極PR
今年の協賛企業の販売ブースでは、秋本食品(株)、遠藤食品(株)、(株)新進、中田食品(株)、(株)中園久太郎商店、(株)丸越らが、自慢の逸品をはじめ自社商品のPRに努めながら、漬物の効能や優れた特徴を紹介。漬物グランプリの賑わいに一役買った。
また、例年注目される全日本漬物協同組合連合会の出展ブースでは、全国各地のお漬物がバラエティ豊かに取り揃えられており、来場者らが試食と共に、気に入った漬物を多数購入しており、用意された各種漬物製品は人気のものから早々に完売していった。
〈販売された主な漬物〉
▽いぶりがっこスライス(秋田県) ▽福島のいかにんじん(福島県) ▽にんにくたっぷり白菜キムチ(東京都) ▽東京べったら漬(東京都) ▽やさしい福神漬(東京都) ▽あとひきだいこん(神奈川県) ▽昆布が入った寿司がり(神奈川県) ▽恋する梅の実(埼玉県) ▽東京たくあん/甘口たくあん(茨城県) ▽ゆずだいこん(栃木県) ▽本格キムチ(群馬県) ▽あまいカリカリ梅(群馬県) ▽丸なす粕漬(長野県) ▽野沢菜本造り(長野県) ▽数の子わさび~極み~(新潟県) ▽自然色一本かつお味(新潟県) ▽野沢菜わさびフードカップ(新潟県) ▽のっけてガーリック(新潟県) ▽甲州産小梅(山梨県) ▽香味うみゃ~でしそ味沢庵(愛知県) ▽特製わさび漬け角カップ(静岡県) ▽みずなす漬(大阪府) ▽黄さんの手造りキムチ 通の味(大阪府) ▽そうめんかぼちゃの奈良漬(大阪府) ▽志ば漬きざみ(京都府) ▽醤油みそ漬(和歌山県) ▽おいしく減塩 はちみつ(和歌山県) ▽おいしく減塩 しそ風味(和歌山県) ▽特選紀州しそ漬梅干し(和歌山県) ▽特選紀州はちみつ梅干(和歌山県) ▽特選紀州うす塩梅干(和歌山県) ▽調味梅干(和歌山県) ▽一梅千日 うす塩味梅(和歌山県) ▽甲南ならづけ 赤耳(兵庫県) ▽田舎漬(滋賀県) ▽広島菜漬(広島県) ▽すっきりなら漬(徳島県) ▽旨い奈良漬(香川県) ▽元祖三池ごまたかな(福岡県) ▽国産辛子たかな極(福岡県) ▽豚たかな(福岡県) ▽千本漬(宮崎県) ▽しそ干しスライス沢庵(宮崎県) ▽ミニ山川漬(鹿児島県)