「学生の部」の応募件数が昨年の3倍に潮流に乗って若年層へアピールをトレンドへのマッチング強化で漬物グランプリ活性化の必要性
漬物グランプリ2024開催
去る4月25日より3日間に渡り、盛大に漬物売場グランプリ2024が開催され、グランプリが決した。コロナ5類移行に伴い、制限のない形で試食や、一般来場者の実食審査なども行われ、全漬連ブースも盛況だった。
これまで全漬連の評議委員会をはじめ、様々な会議で漬物グランプリの是非が問われてきた。本紙でも、継続もしくは中止を問い、開催の意義や継続の是非について考えてきた。
当初(基本的には現在も)は、市販品の漬物製品が審査され、決勝審査では一般来場の実食審査、グランプリを獲得することによって、同時に農林水産大臣賞も獲得。優れた漬物製品と評価され、これを契機として更に市場流通を活性化し、漬物産業を活発にする起爆剤的役割を期待してきた。実際にそれは容易なことではなく、全てのメディアが注目するわけではないこともあってか、イベントとしての認知度も依然低いようである。
今回も出展ブースや特別会場で催された表彰式には、概ね関係者と思しき人達のみが集まっており、これが全国へ波及するとなるには、もっと地道な広報活動を要することは想像に難くない。これまでも関係者から、漬物グランプリの認知度の低さが指摘されており、連携して各所でのPR活動の必要性を感じずにはいられなかった。3日間で10万人を超える規模で開催されるホビー・ショーの一部を間借りする形ながら、会場の配置状況からこれまで同様に人が集まるスペースとならなかったのも残念であるが、もっと注目されるイベントになるよう努力が必要のようである。コロナ以前の開催では、確かに圧倒される行列もできていたことを思うと、ここ数年の会場の雰囲気は寂しい一言である。
全く良いところがなかったかといえば、昨年から加えられた「学生の部」が、功を奏したのか、応募件数が昨年の3倍だったという。全国の農業高校に漬物グランプリ開催概要と応募を呼びかけたそうだが、昨年情報番組に取り上げらたことも評価を高めたのかもしれない。また昨今、漬物業界では若年層の喫食率の低下を憂い、何らかの対策もしくは若年層に評価される漬物製品の開発が急務として模索を続けてきた。各社が、高校生との共同での商品開発などを行い、一定程度の成果は上げてきたのではないだろうか。とはいえ抜本的な改善とはいかず、今後も地道な学生とのコラボ商品開発やそのPRに取り組むことに終始しそうだ。
そのような中で、漬物グランプリへの学生応募の増加は、注目すべきであろう。更に、どの出品作品も明確なテーマのもと思考錯誤を重ねており、SDGsや地域食材の活用、郷土食としての漬物に対して非常に熱心に研究していることもわかる。コロナ禍以降、SDGsの急速な普及によって、食品ロスや環境に配慮した取り組みが注目を集めるようになり、昨今の若い層における意識の高さがごく当たり前のことのように、社会全体にも浸透しつつあり、時代背景や社会環境の急速な変化は市場のトレンドを大きく変えており、見逃せないワードも多い。海外では、まだ日本では見られない、認証マークも一般的となっている場合もあり、当然そういった新しい動きも日本国内で流通する事も時間の問題である。
話が逸れたが、そのような動きの中で若年層の意識下に、環境に配慮する考え等が醸成され、生活全般にそれが反映されるようになってきたのではないだろうか。そういったことから、SDGsそのものと言っていい漬物は、自ずと彼らが取り組みたいテーマの宝庫として挙がったと考えてもいいのでないのか。引き続き、この流れ潮流に乗って、若年層へのアピールや昨今のトレンドへのマッチングはこれまで以上に急務であり、これらを漬物グランプリにも活かしていく事はイベントの活性化にもつながるはずである。関係各位をはじめ、組合会員は総力をあげて支援に取り組むべきではないだろうか。