学生らエシカル意識高く、漬物に理解示す潮流を活かして

 去る4月末、漬物グランプリ2024が今年も全日本漬物協同組合連合会の主催で執り行われ、グランプリが決した。組合会員らには、肯定的に捉え、PRに最適と積極的に取り組む企業がいる一方で、会場が関東に限られる為参加が難しいなど、様々な理由から否定的な考えで全く参加しない会員もいるようだ。

 これまでにも本紙では、否定的な意見も書いてきたが、参加企業が前向きに参加することでPRを有効に展開できるのならば、有意義な活用は推進するべきとも考えてきた。しかしながら、実態は参加企業や協賛企業は一部に限られ、全漬連のブースや表彰式への参加者も以前に比べ減少していると感じる。

 そのような状況下、昨年創設された「学生の部」は募集が昨年の3倍と増加した。昨年はテレビ中継もあったためかその効果もあったようだが、何より決勝ステージに登壇した出品参加者らの作品は、そのテーマや取り組む姿勢の前向きさに感心するものばかりで、この数年でSDGsや食品ロス、環境に配慮しサステナブルな取り組みで課題にチャレンジしようとする潮流が如何に浸透してきたかを伺わせる。

 これまで漬物産業は、その売り上げを支えるのは高齢者を中心とした高い年齢層とされ、若年層においては全く見向きもされないとの悲観的な見方が大勢である。実際に贈答品となると購買層は、贈り物をよく購入する年齢層となるだけに、学生をはじめ若い20代~30代の利用はやはり少ないだろう。カテゴリーの中でも奈良漬などは企業アンケートから、60代~70代が中心となっていると指摘され、これには納得せざるを得ない。また、それらのユーザーの中心となる購買層以外を取り込もうとすれば、なかなか上手くいかず訴求の難しさを吐露することには一定の理解もあるのではないのか。とはいえ、この状況をそのまま野放しにはできないだろう。

 前述のように、学生を中心とした若い年代の意識の高さは、昨今の傾向かもしれないのだが、コロナ禍を経てエシカル消費が浸透してきたことも見逃せない。多くの学生が、漬物がSDGsそのものであり、漬物製造が食品ロスや環境に配慮する昨今の潮流にマッチしていることに気づき、更に郷土食としても地域に根ざして技術継承されてきた食文化として理解を示しているのだ。

 これまで業界では、あまりSDGsへのマッチングを避け(てきたといっていいだろう)、商品PRや訴求には前向きではなかった。一部では商品開発に活かし、賞の受賞もされ売り場に定着するメーカーもいるが、稀なパターンなのかもしれない。

 そういった流れを理解し、学生の応募件数増加の流れを、決勝イベントの開催以前に会員らに周知することはできなかったのだろうか。実際のいまの全漬連の組織状況では、各県への伝達が思ったように行き届かず、会員のすべてに伝達することは困難とも指摘される。また、理事長や役員と同等に認知度を向上させることは現段階では難しいという。何らかの改善策を打ち出し、来春の漬物グランプリ2025は、今年以上の参加応募に加えて、スタッフとして参加する会員企業への周知と協力を今まで以上に取り組み、また漬物グランプリ開催の周知についても積極的に推進するべきだろう。健闘を祈りたい。

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