日本の伝統食文化であるお漬物や佃煮は、その地域にとって欠かすことのできない重要な栄養源として受け継がれてきましたが、その中でこれまで親しまれてきた昔ながらの和食文化が影を潜めつつあります。
一方で、戦後の経済成長と共に洋食文化を手軽に楽しむことが出来るようになり、飽食の時代となりました。食事に対する考え方や社会環境の変化も著しく、普段の生活の中でバランスのとれた栄養摂取への実践は意外に難しく、長年指摘され続けてきた推奨される野菜摂取350gの壁は著しく高いものに思われます。バランスを考えることが容易だった和食から離れる傾向にある昨今、栄養摂取の適正化は大きな課題であり、副菜としての野菜摂取や足りない栄養価を補うお漬物や佃煮は、今まさに見直されるべき栄養摂取を補完する大事な食文化であろうと考えられます。
しかしながら、現状の食事環境や経済情勢の変化が著しい中にあって、益々和食への回帰は難しいとされます。そういった現状から洋食文化との相性の良い形にアレンジされたお漬物や佃煮も数多く、惣菜化がより進んできました。バランスを整えるお漬物や佃煮が、昨今の変化の中で存在感を少しだけ発揮する事が出来れば、いつもより少しだけ食卓にあがるようになれば、わずかに届かない野菜摂取量350gも可能となりそうです。
本紙では、漬物事業者や佃煮事業者で形成される組合活動や、各社の取り組みを紹介。また食品業界にかかわる制度施行やトピック、イベントなどを通して、業界の課題をフォーカスします。
代表取締役 杉岡秀雄