大根作柄豊作傾向とするも、エリアにより違い 全国一の猛暑・旱魃エリア新潟、平年の7割⁉︎ 春作でどこまでカバーできるか注視続く
沢庵原料状況
九州や関東では茨城や群馬、新潟など、大根の主要産地で収穫がスタートし、ピークを迎えている。今夏、酷暑からその後の影響が懸案となっていたが、回復の兆しと見るべきか、北関東や茨城の産地は豊作傾向という。しかし、厳しい状況が指摘されてきた新潟では、全国で一番の猛暑・干ばつ地域になった事から、平年作の70%前後の作柄が予想されており、春作でどこまでカバーできるか、進捗を注視しているという。
また順調という一大産地南九州だが、栽培エリアや品種により少しずつ状況に違いもみられる事から、楽観視はできないようだ。
今年は夏場の酷暑が長期化し、厳しい旱魃傾向からあらゆる作物が被害を受けているのは周知の通りである。大根は概ね、秋を目前に9月中旬以降に播種がスタートするが、今年の酷暑は長期的で、その後の影響が懸念されてきた。今夏、北海道、青森が旱魃の影響から(昨年は台風被害で厳しい状況に)、その後の進捗が懸念されてきた。
特に新潟では、旱魃から夏に播種した大根の生育状況が悪く、その後の進捗が注視されてきたが、今冬の作柄を平年の7割作と予想する。12月では、寒波の影響も懸念されることから、月末の収穫終盤まで気が抜けず、現状の見通しから上振れも期待できるのか、定かではない。その為、既に小売事業者に対しては、特売ストップや供給面での厳しい状況がアナウンスされているという。一方で、茨城や北関東エリアは、天候状況も温暖で生育には最適だったようで、潤沢な原料調達が可能ではとの見方が大勢のようだ。
見通し良好も最終段階まで注視続く
一大産地である南九州では、概ね順調としながらも旱魃の影響もみられ、虫食いや割れもあることから、今後の進捗を注視しているというメーカーもある。原料状況を順調とみる企業では、直近2~3年を振り返り、台風の影響から播種が遅れ、その遅れを取り戻せずに原料確保は潤沢とはいかず厳しい状況を強いられたと吐露する。
そのような昨年までの状況から一転、「ようやく今年は豊作型の年と期待できるのでは」という有力企業では余裕を覗かせ、12月に入り入荷状況は計画の40%(昨年は30%を割り込んだ)を超えているという。
人手不足顕著に改善困難に 労働力を実習生に頼る厳しい実態
とはいえ種々の課題山積から、先行きを注視していることは間違いない。12月中旬からは、干し沢庵用の原料入荷もスタートするため、漬け込み作業もピークとなる。当然ながら、人手を要し、従業員総出という企業がほとんだだろう。
コロナ禍で、外国人技能実習生が帰国し、その後継続しての受け入れが出来ずに昨年末は厳しい情勢を強いられた企業もあり、人手不足を補う人材確保が滞る状況は今後も改善の見通しはないだけに喫緊の課題だろう。
また農家の高齢化も顕著で、農業就労人口の減少を食い止め、人材の確保を進めることが切に求められている。天候状況の安定推移で、11月以降良好に生育してきたが、高齢化から作付面積は減少傾向にあることは間違いなく、引き続き、機械化を推進しながら、何より若手の就労者を増やせるよう適切な環境整備を必要としている。
そのためにも、行政や地方自治体との連携を強化し、ネットワークを密に取り組みを進めることが肝要と言える。度々指摘されるが、圃場周辺に利用に便利な専用の手洗い場やトイレが必要という。実際に、トイレさえた設置されていない圃場は当たり前であり、足元から必要最低限の設備を整え、就労者に優しい現場づくりを推進することで多くの労働力確保ができるのか、取り組むべき案件は山積みのようだ。
各地で模索が続いているものと思われるが、農業改革と共に地元有力企業との連携を深め、一歩ずつ着実に課題の改善に取り組まねばならない。