大根の作柄予想を大きく下回る可能性 12月中旬を迎え尚先が見えず
沢庵原料作柄状況
この先、九州エリア最大産地となる鹿児島・宮崎では概ね1月中旬には収穫が終えることから、今季の収穫量が把握できるというが、12月中旬を迎え尚先が見えない。予想を大きく下回る可能性もあることから、現地沢庵メーカーの原料担当者をはじめ、経営者を悩ませている。
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当初は台風の影響から1~2週間にわたり播種が遅れたものの、収穫までの経過予想からその遅れも織り込んだ収穫までの計画が順当に進むものと考えられてきた。しかし、9月以降も続く暑さの影響は大きく、30℃を超える気温が9月後半、そしてその後も20℃後半とこれまでにない環境が続いた。大根の生育も思惑通りに成長が進まなかったことは想定外だが、宮崎に至っては、計画した播種期が降雨に見舞われ、更に1週間以上の遅れとなってしまった。
12月を迎え、生大根の入荷がはじまったものの、大根が十分に太っていない。有力メーカー担当者によれば、新物原料の重量は平均811gで例年比の概ね8%ダウンという。入荷料も全体の50%が入荷していた昨年11月下旬に比較して、今季はこの段階で28%程度という。著しく低い入荷量は、12月に入ってもペースが上がらない。
前述のように播種が遅れた宮崎だが、更に気温の低下も加わり、生育が進まない。12月第1週の週末には朝の気温も2~3℃程度となり、第2週目にはマイナス1~2℃となった。週間予報では降雨の確率は著しく低く、その心配はないということだが、ここ最近の気候状況は変動が著しく、これまでの経験則が役に立たず予測ができない。徐々に解消することを予想した後半へのずれ込みも、生育が進まないことから干し作業へと移れず、遅れを解消できずに年末年始を迎えようとしている。大根が想定以上に細く、農家も「もう少し太らせてから」と収穫を遅らせる傾向にあり、更に今季作柄が読めないという。
例年であれば、各所で櫓を見ることができ、中旬に向かってピークを迎えるはずが、12月初旬になっても櫓での干し作業が進んでいないことも例年にない状況にあることを象徴している。
また、主力の産地である新潟県も想定外が続き、作柄は不安定だ。昨年の旱魃を経て、不作回避を目指してスタートした今年の播種期だったのだが、病害等の発生に苦慮し、9月後半の大雨の影響を受けて生育が非常に悪いという。重量は昨対を割り込む可能性も示唆されており、先行きが危ぶまれている。関東エリアにおいても予想より作柄は悪いとのことだが、十分な収穫量を得られるのか、いずれにしても悪条件に囲まれている今季、厳しい情勢に改善の余地が見えてこない。
このような進捗状況から、拡売の取りやめはもとより、来年以降の販売計画の策定が困難となっており、多くの関係者が先行きが懸念している。